前代未聞の裁判だ。前代未聞の「学校内裁判」の行方――。当代一流のストーリーテラー、宮部みゆきの最新作『ソロモンの偽証』は、一人の中学生の死をめぐって拡大する混乱とそれを収束させるため決行される異例の法廷劇の顛末を描いた現代ミステリーの大作だ。物語の発端となる事件が発生したのは、一九九〇年の暮れ。この国が、まだぎりぎり、バブル景気に浮かれていられた時代だ。
这是前所未闻的审判。前所未闻的“校内审判”将去向何方?当代一流小说家宫部美雪的最新力作《所罗门的伪证》,故事讲述了因某一中学生离奇死亡而逐步扩大的混乱局面,以及为了结此事意外出现的法庭审判,可谓是现代悬疑推理大作。故事的开端发生于二十世纪九十年代末,当时的日本正处于泡沫经济时代的边缘。
クリスマスの朝、城東第三中学校の校舎裏で一人の男子生徒が転落死しているのが発見される。昨夜来の雪に埋もれていた“死者”の名は、柏木卓也(かしわぎ・たくや)。一カ月ほど前から登校するのを拒み、自宅に引きこもっていた二年生の生徒だ。遺体には誰かと争ったような形跡はなく、警察も早々に「自殺」として処理し決着した事件――だったはずが、学校長の津崎(つざき)やヒロインの女生徒、藤野涼子(ふじの・りょうこ)に宛てて届いた無署名の「告発状」には、柏木の死は殺人であり、校内で札付きの不良グループが彼を校舎の屋上から突き落とすのを目撃したと書かれていたのだ。この告発状に一部のマスコミが飛びついたことで、学校はスキャンダルにまみれて評判を落とす。しかし、右往左往する大人たちを尻目にヒロインは、自ら事件の真相を明らかにすべく学校内裁判の開廷を決意して……。
圣诞节的早晨,城东第三中学的校舍里,一个男生坠楼身亡。“死者”名为柏木卓也,尸体掩埋在昨夜的大雪里。死者是一名二年级的学生,大约一个月前他拒绝来校,把自己关在房间里。尸体并未显示生前与人争斗的痕迹,警察很快断定是一起“自杀”事件——没过多久,校长津崎和女主人公的女学生藤野凉子收到了匿名告发信,声称柏木是他杀,且亲眼目睹了校内声名狼藉的不良少年团体将他从校舍的屋顶上推下来。这封告发信被一些媒体察觉,学校丑闻缠身,名声一落千丈。但是,女主人公无视这些像没头苍蝇般的大人们,决定自己揭开真相,并在校内进行开庭审判……
昨年(二〇一一年)十月、滋賀県大津市の男子中学生が飛び降り自殺をした事件とその後に表面化する〈いじめ〉の問題を重ね合わせて読まないわけにはいかない設定だ。おっと、宮部が本作の連載を「小説新潮」誌上で始めたのは二〇〇二年のこと(二〇一一年に足掛け十年で完結)だから直接的な影響を受けたわけではないのだけれど、現実と虚構の間(あわい)にこの作品は奇しくも立ち位置を定めて世に送り出される運命にあったと言うべきなのだろう。
本书让人联想起去年(2011年)十月,滋贺县大津市某中学一男生跳楼自杀的事件以及其背后的校园暴力问题。且慢,宫部的这部作品是于2002年开始在《小说新潮》上连载的(直到2011年前后十年完结),所以并不是受到真人事件的直接影响,但这部作品却出乎意料地在现实与虚幻的交错中问世,简直是命中注定的。
柏木少年は、いじめられっ子だったのか?もし自殺だったとすれば、本当の動機は何だったのか?学校内裁判では、生徒たちがそれぞれ検事、弁護人、判事の役を割り振り、関係者の大人たちをも召喚して証言を求め、同級生の死の謎に迫る。“いい大人たち”が避けて済まそうとした〈責任〉を、生徒たちは背負う覚悟なのだ。
柏木少年是被欺负的孩子吗?如果真是自杀的话,那么真正的动机又是什么呢?在校内审判中,学生们各自担任检察官、律师和法官的角色,传唤相关的大人们出庭举证,一步一步逼近同学的死亡之谜。“好好大人们”想要逃避的责任,孩子们却做好了肩负起来的觉悟。
全三巻から成る大部の小説で特筆すべきは、学校内裁判の準備に丸々一巻(二巻目)が割かれていること。検事役を務めるヒロインの藤野を筆頭に、生徒たちは裁判の実現とその運営を通じて〈社会〉と向き合うことで各々が個性を発揮するのだ。現代の中学生群像を活写し、重たくも、しかし爽やかな読後感を残す。
全三卷的大部头小说,为校内审判所做的准备就占了一卷(第二卷)。以担任检察官的女主人公藤野为首,学生们通过审判的达成及展开与社会产生正面冲突,发挥出各自的个性。书中将现代中学生的形象描绘得栩栩如生,题材虽然沉重,读后却心情爽快。
作者简介:
宫部美雪/1960年出生于东京。87年以《汝等邻居的犯罪》获得全读本推理小说新人奖。93年以《火车》获得山本周五郎奖。99年以《理由》获得直木奖。2001年以《模仿犯》获得每日出版社特别文化奖。07年以《无名之毒》获得吉川英治文学奖。
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