むかしむかし、那賀郡田中村(→今の和歌山市)というところに、赤尾長者と呼ばれる長者がいました。
很久很久以前,在一个叫做那贺郡田中村(现在的和歌山市)的地方,有一个人称赤尾长者的富翁。
長者には長いあいだ子どもがいませんでしたが、ようやく玉の様な男の子が生まれました。
富翁长工夫以来都没有孩子,好不轻易有个了宝贝儿子。
長者は子どもに万年も生きてくれる様にと願いを込めて、亀千代(かめちよ)と言う名前をつけると、子どもを毎日はかりにかけて、体重が少しずつ増えるのを楽しみにしていました。
富翁祈求儿子能活万年,所以给他取名为龟千代,每天把孩子放在称上,期待孩子的体重能一点点上升。
ところがある日の事、長者が体重を測ろうとしたとたん、はかりのひもがぷっつりと切れて、亀干代は地面に頭をぶつけて死んでしまったのです。
可是有一天,富翁正打算给他测体重的时分,称的绳子噗嗤一下断了,龟千代头撞在地上死了。
長者夫婦は、一晩中泣き続けました。
富翁夫妻哭了整整一个晚上。
そしてふと、死んだ子の手のひらに名前を書いておけば、生まれ変わったところがわかるという言い伝えを思い出したのです。
然后突然想起有个传言说只要在死去的孩子手掌上写上名字,就能获得重生。
長者はさっそく筆をとると、亀干代の左の小さな手のひらに、《赤尾長三郎の一子、亀干代》と、書きつけ、「いいか、亀干代。いつまでも待っているから、必ず生まれ変わって来いよ」と、何度も言い聞かせてから、小さなお棺のふたを閉じました。
富翁赶紧拿来笔,在龟千代的小小的左手手掌上写《赤尾長三郎的一子、龟干代》,重复着说了很多遍「听好了,龟千代。不管多久都会等,所以肯定要转世回来啊」,然后合上了小棺材。
それから数年後のある日、小さな赤ちゃんをおぶった若い夫婦が、赤尾長者を訪ねて来ました。
过了几年之后的某一天,背着一个小孩的年轻夫妻来拜访赤尾长者。
長者夫婦がその赤ちゃんを見てみると、何と左の手のひらに《赤尾長三郎の一子、亀干代》と書きしるした文字が、はっきりと現われていたのです。
富翁夫妇一看到那个孩子,就发现左手掌上明白地写着《赤尾長三郎的一子、龟干代》。
おどろく長者夫婦に、若夫婦が言いました。「手のひらの文字を不思議に思い、お寺の和尚さんに相談したところ、『この子は、赤尾長者の子の生まれ変わり。この文字はどんなに洗っても決して消えないが、以前に生まれた家の井戸の水で洗えば消える』と、言われました。そこで、お水をいただきにまいりました」。
年轻夫妇对吃惊不已的富翁夫妇说道「觉得写在手掌上的文字不可思议,所以就找寺庙的和尚商量,和尚说『这孩子是赤尾长者的儿子的转世。这文字不管怎么洗都洗不掉的,但是如果用前世人家的井水洗的话就能洗掉』。所以,来这里要点水」。
長者夫婦は赤ちゃんを抱きしめると、涙を流して頼みました。「一生のお願いや。この赤ちゃんを、わしらにくださらんか。お礼なら、なんぼでもしますから。何なら、この屋敷を差し上げても良い」。
富翁夫妇紧紧地抱着小孩子,流着泪恳求道。「这是我们一生的愿望啊。可否把这个孩子给我们啊。你们想要什么都可以。就算把这个房子给你们也可以」。
若夫婦は、長者夫婦の涙にもらい泣きしながらも、きっぱりと断りました。「お気持ちはわかります。ですがこの子は、わたしたち夫婦の宝物なのです」。
虽然富翁夫妇哭着恳求,可是年轻夫妇还是一口拒绝了。「你们的心情我们理解。可是这个孩子也是我们俩夫妻的宝贝啊」。
「・・・わかりました。もう一度我が子を抱けただけでも、本望です」長者夫婦はあきらめると、若夫婦に井戸の水を差し出しました。
「・・・明白了。那就再让我们抱一下我们的孩子吧,这是我们的夙愿」富翁夫妇放弃了,就把井水给年轻夫妇。
若夫婦がその水で赤ちゃんの手のひらを洗うと、文字はみるみる消えたということです。
年轻夫妇用那水给小孩子洗了手,然后那文字就消失了。
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