あらすじ
貧しく少年が、友達を救って自らは水死する親友と夢の中で星座巡りの列車に乗
り合せ、死者たちと共に宇宙を旅する幻想物語。
登場人物
ジョバンニは貧しい家の少年です。お父さんは遠い北の海へ漁に出ています。
ジョバンニは学校が終わると、病気のお母さんを支えて働いています。
ジョバンニには、憧れている友人カムパネルラがいました。
ジョバンニが友達に苛められても、いつもカムパネルラは味方です。
五、天気輪(てんきりん)の柱
牧場のうしろはゆるい丘になって、その黒い平らな頂上は、北の大熊星(おおぐまぼし)の下に、ぼんやりふだんよりも低く連って見えました。
ジョバンニは、もう露の降りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行きました。まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照らしだされてあったのです。草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持って行った烏瓜(からすうり)のあかりのようだとも思いました。
そのまっ黒な、松や楢(なら)の林を越(こ)えると、俄(にわ)かにがらんと空がひらけて、天(あま)の川(がわ)がしらしらと南から北へ亘(わた)っているのが見え、また頂(いただき)の、天気輪の柱も見わけられたのでした。つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢(ゆめ)の中からでも薫(かお)りだしたというように咲き、鳥が一疋(ぴき)、丘の上を鳴き続けながら通って行きました。
ジョバンニは、頂の天気輪の柱の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草に投げました。
町の灯は、暗(やみ)の中をまるで海の底のお宮のけしきのようにともり、子供らの歌う声や口笛、きれぎれの叫(さけ)び声もかすかに聞えて来るのでした。風が遠くで鳴り、丘の草もしずかにそよぎ、ジョバンニの汗(あせ)でぬれたシャツもつめたく冷されました。ジョバンニは町のはずれから遠く黒くひろがった野原を見わたしました。
そこから汽車の音が聞えてきました。その小さな列車の窓は一列小さく赤く見え、その中にはたくさんの旅人が、苹果(りんご)を剥(む)いたり、わらったり、いろいろな風にしていると考えますと、ジョバンニは、もう何とも云えずかなしくなって、また眼をそらに挙げました。
あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。
ところがいくら見ていても、そのそらはひる先生の云ったような、がらんとした冷いとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場やらある野原のように考えられて仕方なかったのです。そしてジョバンニは青い琴(こと)の星が、三つにも四つにもなって、ちらちら瞬(またた)き、脚が何べんも出たり引っ込(こ)んだりして、とうとう蕈(きのこ)のように長く延びるのを見ました。またすぐ眼の下のまちまでがやっぱりぼんやりしたたくさんの星の集りか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。
译文:
第五章气象标
牧场后面有一座坡势徐缓的山岗。那黑黝黝的平坦山顶,在大熊星辉映下,显得愈发低矮,与大熊星连成一片。
焦班尼穿过露水打湿的林间小径,急匆匆地上了山岗。在黑魁魁的草木和奇形怪状的灌木丛中,唯有那条小径,被星光照耀得特别明白,亮晃晃的。草丛中小虫泛着萤光,草叶在月光下透明而青翠。焦班尼仿佛觉得这些就像刚才大家手里拿的王瓜灯笼。
绕过乌黑的松树和橡木林,天空一下子豁然开朗。焦班尼望见天河由南一直通向北方。同时可以看清山顶上的气象标。眼前是一片风铃草和野菊花,怒放怒放,香气袭人,如同梦境一般。
一只小鸟叫着从山岗上擦过。
焦班尼来到山顶气象标下面,气喘吁吁地躺倒在冰冷的草地上。
镇里的灯光,如同黑暗的海底的一座水晶宫,光彩辉煌。既可以听见孩子们的歌声和口哨声,又可以听到隐朦胧约传来的呼喊声。风声远去,小山岗的青草随风轻舞。焦班尼那汗水浸透的衣衫,此时已冰冷如石。他不禁打了个寒战。
原野上传来车轮声响。一排排小火车的车窗,小巧、通明,车厢里熙熙攘攘的旅客们,削着苹果皮,有说有笑,千姿百态。……想到这儿,又一阵难忍的心酸涌上焦班尼心头,他把视野再次转向天空。
可是,无论他怎么看,天空都不像白天老师说得那么空旷和毫无气愤。何止如此,他以至觉得,越看天空越像一片小树林,或是一片原野。焦班尼还发现,蓝色的天琴星竟然出现了三四个,一闪一闪地眨着眼。一会儿伸出一只脚,一会儿又缩了回去,最后终于伸得长长的,像蘑菇一样。就连山脚下的镇子,也如同一片茫茫的星河,又像是虚无飘渺的烟云。
学学日文的语言表达:
ジョバンニの汗(あせ)でぬれたシャツもつめたく冷されました。(焦班尼那汗水浸透的衣衫,此时已冰冷如石)
その中にはたくさんの旅人が、苹果(りんご)を剥(む)いたり、わらったり、いろいろな風にしていると考えますと(车厢里熙熙攘攘的旅客们,削着苹果皮,有说有笑,千姿百态。……)
ジョバンニはわれを忘れて,空をじっと見つめている。
ああぼくはその中をどこまでも歩いて見たいと思っているかしら。
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